豆本の歴史 | 豆本フェスタブログ

最古の「豆本」

2009 年 12 月 13 日 | 事務局代表 | 豆本コラム

 豆本の歴史を記した大著『Miniature Books: 4,000 Years of Tiny Treasures(豆本—小さな宝石の4000年)』によると、最古の豆本は古代メソポタミアの粘土板だとか。
 粘土板を「本」としていいのかどうか、ちょっと抵抗がありますけれども……。

 いずれにしても初期の豆本は、愛玩物というよりも、実用性から生まれたものであるに違いありません。
 それは何かというと、聖書や祈祷書などの内容で、旅行などに持ち歩く便を考えて作られたものです。

 この本にも図版が載っているのですが、日本の最古の豆本は、あの百万塔陀羅尼です。形状には何種類かありますが、天地幅(本の高さ)は平均5.5cmなので、まさに「豆本」と言えます。

百万塔陀羅尼のレプリカ(田中栞所蔵)

*百万塔陀羅尼のレプリカ(田中栞所蔵)

 川瀬一馬『日本書誌学用語事典』(雄松堂書店、昭和57年)には、日本最古の豆本として江戸時代の本が載っているのですが、確かに百万塔陀羅尼のほうが古いに決まっています。百万塔陀羅尼は冊子本(さっしぼん)ではありませんが、巻子本(かんすぼん。巻物のこと)だって立派な書物です。
 百万塔陀羅尼は、持ち歩くために小さく作ったわけではありません。小さな塔の中に納めるために、この大きさになったのです。
 それにしても、仏教ではありますがこちらも宗教書であるわけで、発端がこうした内容であるということは、決して偶然ではないでしょう。

豆本とは?

2009 年 12 月 13 日 | 事務局代表 | 豆本コラム,

 豆本とは、小さな本のことを指します。
 英語で「miniature book」「midget book」などといい、日本では「豆本」「袖珍本(しゅうちんぼん)」「寸珍本」などの呼び名があり、江戸時代には「雛本」「芥子本」などとも呼ばれました。

 では、どの程度小さいものを指すのか? というわけで、私の手元にある、本に関する辞典類を調べてみると、川瀬一馬『日本書誌学用語事典』(雄松堂書店、昭和57年)、『日本古典籍書誌学辞典』(岩波書店、平成11年)、『図書館用語辞典』(角川書店、昭和57年)などの解説は、具体的な大きさがどうなのかについては、どうも要領を得ません。

 最もきちんと記述されていたのは、『世界大百科事典』(平凡社、昭和63年)の「まめほん」の項です。執筆担当者は弥吉光長。
 この記事によると、「西洋では天地が10cm以下のものをいう」(1927年、ヘンダーソンによる首唱)としながらも、「2インチ(5.08cm)以内」という主張もあったそうです。
 日本では、小池藤五郎が江戸時代の豆本を分類するのに「小本の半截(半分の大きさ、13cm×9.5cm)以下」、7段階に分けたとか。

『Miniature Books: 4,000 Years of Tiny Treasures(豆本—小さな宝石の4000年)』

 2007年に刊行された、Anne C. BromerとJulian I. Edisonによる大著『Miniature Books: 4,000 Years of Tiny Treasures(豆本—小さな宝石の4000年)』を見ると、本の天地寸法が「3インチ(76.2mm)または76mmまで」となっています。

 現代人におなじみの文庫本はA6判(=葉書サイズ)で148×105mm、その半分のサイズはA7判で105×74mm。「豆本」と言うには、まだちょっと大きい感がありますね。
 やはり本の天地が10cmよりは小さくあってほしいものですが、本のサイズが小さくなればなるほど、中に記すことのできる情報量は制限されてきます。このあたりが、豆本制作者たちが頭を悩ませるところですね。